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2008.03.13 やさしい太陽
おおきな おおきな
太陽だった

春へ向かう 夕暮れの空に
ぼやけて浮ぶ 丸いオレンジ

やさしい やさしい
太陽だった

あなたを想って 映す心に
ゆっくり沈む 涙のオレンジ

ねぇ 見えた
おおきな やさしい
太陽だったよ
2008.02.19 春へ 春へ

春の種を
振りまきながら

2月のページが
めくられていく 

まだ眠る桜には
想うことが多すぎて


駆け出したい
手を取り合う 再会の3月

留まりたい
涙を握る 別れの3月

2008.02.12 合図
唐突に 暖かい朝
冬の出口が 近い合図

いつもなら
乳白色に 曇った窓も
光を通し
ほんのりと 伝える温さ

そろそろですか

まだですか

すりガラスの 向こう側
春の扉が かすかに開く
2008.01.25 雪いちご
向かい風が
カゴの中を 覗くたび

甘酸っぱい香りが
冷たい鼻さえ くすぐって

真っ赤っかな いちご達
わたしと一緒に 帰りましょう

摩り下ろしたような
白い雪が 積もっていく

粉砂糖のように
ふんわりと 優しく

真っ赤っかな いちご達
凍らないうちに 帰りましょう
2008.01.18 雪待ち
今日こそは 絶好の雲もよう
氷のような校庭に立ち
見上げる じれったい空

やっと 落ちてきた雪は
積もる間もなく

かき消してしまうほどの
白い息と
伸ばされたいくつもの
小さな手の中へ

北風に 足を震わせても
雪待ち顔の 子供たち
2008.01.11 雨はそこに
白く濁った 空は知らない

行く人たちの 予定など

かき混ぜられた 雲は知らない

急ぐわたしの 向かう先

輪郭をぼかしながら

ひと息 ふた息

雨の匂い

ひとつ ふたつ

道の傘
2007.09.12 薄荷の風
まだ暑いねと 話し声

急ぎ染まる 西の空

また一枚 黄色い葉

踏みしめて 乾いた音

まだ素足 わたしのサンダル

通り過ぎた 風はまるで

薄荷のように
2007.08.08 8月
しゃんしゃんしゃん
途切れない 蝉の輪唱
午前10時に ひと休み
賑やかな 夏の朝

もくもくもく
生まれるのは 入道雲
パーマネントな 白い巻き髪
くっきり青く 夏の空

わぁわぁわぁ
歓喜と汗で 大声援
そこだけ特別に 登る陽炎
暑く熱く 夏の球場

変わらない 8月の風景
それでいて
失くしたものは なんだろう
2007.07.22 夏のはじまり

もういいかい

雲をいっぱい広げて
雨を落とさないよう
少し ためらう空

もういいよ

待ちきれなくて
陽射しを呼ぶよう
一斉に セミの声

今年も感じる
夏のはじまり
2007.06.18 梅雨
天気図どおり
続く雨は 夏のため

入って明けて
繰り返す宣言は なんのため

ひと月あまり
思えば短く 潔い季節

過ぎるのを 待たれるばかり
ぐずついてなど いないのに

四季にさえ 数えられない
干支からもれた 猫みたいに

ごめんね だけど
ため息で吹いてみる前線
2007.06.15 オレンジの傘
君が濡れないよう

守っているよ

手をいっぱいに

広げてさ

オレンジ色が

少しくすんできたけど

君のせいじゃない

雨煙の道に

ぽつんと一つでも

綺麗だろ

だからそんな顔で

俯かずに帰ろうよ
2007.06.13 デニムの空
ただ目を閉じて

うたた寝するような空

はき慣らした

デニムのような青さ

眩しくて

白い月まで抜けるくらい

そんな空を望むけど

少し疲れて

ぼんやりしたい

こんな青なら一緒に
サボテンです

小さな鉢
見られないのは 慣れてます
手入れなんか いりません

地味に緑色
数えないけど 増えてます
季節なんか 動じません

体中に棘
飛ばせなくても 持ってます
迂闊になんか 触れません

だけど
ほんのたまに 水をください
枯れては寂しいと
もしも 思ってくれるなら
2007.04.27 たんぽぽ
道端のたんぽぽ
揺れもせず
摘まれもせず
咲いている

遠い記憶のたんぽぽ
柔らかな手ざわり
懐かしい匂い
戻ってくる

わたしはわたし
もう一度
あの日から始めても

同じ花を選ぶだろう

同じ扉へ向かうだろう
2007.04.25 ひと雨
一雨がきて 空を仰ぐ
厚い雲の向こう側
青さを知ってるけれど

一雨がきて 桜は散った
新しい春の花たち
次に待っているから

一雨がきて 傘と歩く
優しい緑の並木道
またあなたに出会うまで