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2007.01.31 プリズム

光を集めて   
伸ばす虹の色
透明なプリズムに
迷いなどない

磨くのは痛いけれど 
滑らかに
曇りがなくなるまで

その形の美しさより
足元に
素直な色を映すため

濁っていてはぼやけるし
傷ができては繰り返し

わたしの心も
そんなプリズム

2007.01.30 気合い

くしゃくしゃの髪
はれぼったい目
艶のない唇

いくつかの夢
反芻する頭
思い出して苦笑

無意識の手順
顔の輪郭を鮮やかに
拭う鏡の中
見慣れたわたしになる

さあ
今日もがんばっていこう

2007.01.29 推理小説
ありそうなこととして
頭で創る 遠い世界
ありえないこととして
でも探る 黒い気持ち

もし わたしなら
もし あの人なら

ざらつきを抱えつつ
どこか 冷静に
違和感を忘れて
いつか どっぷりと

止まらない 負の転落
辿りつかない 幸せな結末

その出来事より
本当の恐怖は 人の心

読み終えた本を置き
ため息をひとつ
少しの余韻を不思議に
扉を閉める

断ち切るように
2007.01.27 ブーメラン

飛ばそう
力いっぱいに
風と遊んで 戻ってくるよ

どんなにきっちり作っても
投げ方ひとつで
戻らない

飛ばそう
何度も何度も
風を切り抜け 戻ってくるよ

なにも得はしないけど
投げ続ければ
暖かい

君と作った 白い紙のブーメラン
広く輪を描き
嬉しそうな手の中へ

2007.01.26 箱庭の宇宙で


太陽に 背を向けて
夜が来る

暗い空の向こう側
無数に散らばる 星の仲間を
知らせるため

時に優しく
時に苦く
見守っている存在が

挑まず
操らず
眺めている存在が

もし 宇宙ごと箱庭なら
ゆっくり 回る
地球はまるで 走馬灯

せめて うっとりするくらい
瑠璃色を放とう

2007.01.25
比べない

それで

マシと安心したくない

幸せの大きさは

自分の心で


忘れない

だけど

教訓と呼びたくない

愛の形は

自分の手で


青空の眩しさを

わたしの目で いま一度
2007.01.24 代償
勘違いしていたね
自由と気まま

失くしてしまったね
いくつかの未来

その代償は大きく
混沌の夢を彷徨う少年

醒めないなら
薄れゆくだけの存在

もし朝が来ても
増すだけの重い現実


ただわたしに残る
記憶の中の幼い顔

自業自得を刻まれ
消えそうな若い命が
哀しくて
2007.01.22 ラリー
尖った言葉は 見えるから

放っても

構えた盾に 跳ね返されて

終わらないラリー

腕が痺れた

少し痛くても

素手で受けて 投げ返せば

やがて丸い球のように

あなたとまた 笑いあう
2007.01.21
たしかに恋で
たしかに愛で

理由もなく 抱きしめて
些細なこと 怒り散らして

頼っては 手をほどき
離れては 袖をつかみ

道の途中で
道を離れて

何気なく 笑って
言葉なく 眠って

後ろから 棘を翳し
向き合うと 心を閉じ

やがて諦めた
思い通りにならないのは
きっと あなたも同じ

ぼんやりした
あの日の未来は
たしかに ここにある
2007.01.20 車輪
すべてがうまく回ってる
滑らかに
揃う車輪で 前へ 前へ

冷たい雨も
乾いた風も
発想転換 綺麗な景色
揃っていれば 愛しいように

すべてが軋んで回ってる
やんわりと
拒む車輪が 一つ 二つ

暖かい太陽も
湿った雲も
不協和音 濁る空
軋んでいては 苦しいように

だけど 壊れちゃいない
いつの間にか
きつすぎた車輪のネジ
少しだけ ゆるめてあげて
2007.01.18 しばらく
雨を拭って 戻る青空
日陰で育つ キャベツも丸い
あっという間 午後でしょう
陽がたまるまで お待ちなさい

手袋はめて 仰ぐ青空
昨日は濡れた サドルも温い
凍える寒さ これからでしょう
やがての春まで お待ちなさい

瞳をふせて 沁みる青空
どこか萎れた わたしも淡い
手を振る背中 君でしょう
見えなくなるまで お待ちなさい
2007.01.17 12年
傷跡は

現実として

再建として

人の目に 見えなくなった

想いとして

景色として

それぞれの胸に 残るだけ

猶予なく 尽きた人

抱えたまま 逝った人

抱きしめて 生きる人

忘れません

命の儚さ

人間の無力さ

それでも素晴しい

がんばる力


変わらない祈りを

1.17に
2007.01.17 行かなくちゃ
もう 行かなくちゃ

眩い流れは 続いてる
優しい時の砂だけど
綺麗なくらい 残酷だから

もう 行かなくちゃ

本当は 知っている
空と交じり合わなくても
選んできた 道だから

もう 行かなくちゃ

たくさん力は もらった
わたし一人の想いなど
抱えられる 腕だから

もう 行かなくちゃ
心は後から ついてくる

もう 行かなくちゃ
駆け出さなくちゃ
2007.01.15 古いメール
アルバムをめくるように

何気なく開いた 古いメール

ああ そう

きっかけは あなたの勇気

揺れる想いと 支える言葉

青く紅く 心が混じり合う

まだ見ぬことも忘れて

なぜ 信じられたんだろう

もっと近くなったのに

なぜ 信じられなくなったんだろう

さよならも言えないまま

なぜ 捨てずにいるんだろう
2007.01.14 ふきこぼれ
熱しすぎて ふきこぼれ
耐えられませんと
やかんが言う

湧きすぎて ふきこぼれ
もう少し我慢してと
蓋を外す

油断したから ふきこぼれ
冷たい水だって
思うより早く

欲張るから ふきこぼれ
せっかくの炎すら
消してしまう

零れた水は すぐ乾く
焦がれる涙が
あなたの笑顔で乾くように
2007.01.14 素敵な手紙
丁寧な文字と
少し大人びた言葉

この一枚を 書くために
使ったであろう時間と
白い便箋
蘇る苦しみを
感謝に代えて

辛いことは まだしばらく
充分 がんばっている
側で 見守る人がいる

だからわたしは ここで願う
どうか無事な毎日を
2007.01.12 幸せな一日
丸い木のスプーン

大きな白のカップ

四角い茶のタイル

淡い薔薇色のトワレ

わざわざ出かけなくても

ついでで間に合う物ばかり

ほんのちょっと朝が変わるよな

彩りにすぎない物ばかり

それでも 選ぶ楽しさと

帰り道の 心も軽く

ベンチで休めば こんなわたしを

穏やかに笑う 冬の青空
2007.01.11 甘えない
忘れないよ

拓いてゆこうと 呼んだ声

いつも胸に

溢れるほど 揺らした心


切なく思い出すことは

遠い景色の中

残像を探した時間

蛍光色の影の中

もどかしく涙した夜

思い出になるのは

あなたではなく 彷徨っていたわたし


だからもう 甘えない
2007.01.10 一枚きり
やり直しをするより
まっさらの布
一から縫えば 早いだろう

消しゴムをかけるより
まっさらの紙
一から描けば 気持ちいいだろう

ほどけば ほつれ
手間もかかる

時には くしゃくしゃ
跡も残る

だけど みんな一枚きり
切って捨てると 小さくなるだけ

使い古しの布でも
新しい形は 作れるから

白い紙じゃなくても
違う絵は 描けるから
2007.01.09 ほのかな予感
真新しい色鉛筆を

並べたような 黄昏時

空の端は 橙のまま

少し 歩幅をゆるめてきた

その長さに ほころんで

風を切る 君の冷たい頬も

静かに眠る 薄紅の蕾も

まだ見えない春を

予感する
2007.01.07 初雪
新年を喜ぶのか
はしゃぎすぎた 夜の風

曇りガラスを拭えば
初めて見る 雪の朝

こんなに降っても
溶けてゆくばかり

どこまでも続きそう
白い空は
ほどなく青に

雫さえも忘れそう
静かな町は
いつもの色に
2007.01.06 嬉しい成長
君と並んで 自転車は
雨の上がった 薄青の下

寒いけど
寒くないように
赤い帽子と 紺の手袋
首元には
クレヨンみたいな 濃い毛糸

向かってくる 冷たい風
過ぎてゆく 何台もの車

負けないように 漕ぎすぎて
振り返った後ろには
もっと早くと
言いたそうな 丸い笑顔

君も
先へ行くんだね
君も
いずれ わたしを追い越して
2007.01.05 影の夢
懐かしいね
久しぶり
元気だった
相変わらずよ
あれからも

穏やかに 咲いてゆく表情と
鮮やかに 交わす言葉
まるで 短編映画のよう

眠りの中で 映された
今と違う未来
わたしの頭で 作られた
都合いい未来

知らなかった
こんな形で 二人の時間
あの日に続きを
望んでいたこと

知っている
欠片が見せた 影の夢
あの日の続きは
ここにあること
2007.01.05 シチュー鍋
赤くて硬い人参は
一生懸命 がんばる形

ほくほく崩れるじゃがいもは
力を抜いた 優しい味

炒めて甘い玉ねぎは
時々ホロリと 恋しい気持ち

元気な風味でにんにくは
クセを持った 怒りの匂い

真四角のブイヨンは
涙と笑いが 詰まった時間

しみこんで 溶け合って
丸くなる野菜たち
薄かったり 濃かったり
前と違う塩加減

火傷しそうなシチュー鍋は
今日までを煮込む わたしの心
数年前は 薄くても

昔のことなら 鮮やかに

今のことは 遠くても

わたしのことなら 途切れない 

そんな話を 喋り疲れ

せがまれて 蕎麦を食べ

数えないまま 迎えた新年

初日の出より

夕暮れのような 手のグラス

改まった挨拶より

いつもと同じ 緩んだ顔

特別ではなかったけれど

おいしいなら それでいい

今年もここで そのままで

変わるのは わたしでいい

こうやって 交わす時間に

明けましておめでとう