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サボテンです

小さな鉢
見られないのは 慣れてます
手入れなんか いりません

地味に緑色
数えないけど 増えてます
季節なんか 動じません

体中に棘
飛ばせなくても 持ってます
迂闊になんか 触れません

だけど
ほんのたまに 水をください
枯れては寂しいと
もしも 思ってくれるなら
2007.05.30 雨のち
すこしづつ
薄まってゆく雨雲

たえまない音に代わって
スズメの声

湿った風と戯れる
赤いTシャツ

物語を読み終え
現実の迷宮に一人

静かな時計に目をやり
お茶をまた一杯

もう乾いてるといいな
君の濡れた足
言葉はかわる

飾られて

捻じ曲げられて

尾ひれがついて

言葉はまわる

そっと置いても

誰かが拾い

どこかへ投げる

言葉はとまる

ときどき

予期せぬ人に

一番嫌な形で
2007.05.29 一歩
一歩
それから もう一歩

広がる世界は
いつも眩しく 鮮やかで
素晴しかったけれど

一歩
それから もう一歩

踏み出せたことが 嬉しかった

一歩
あと少し また一歩

振り返る道は
いつも直線に 賑やかで
迷わなかったけれど

一歩
あと少し また一歩

遠くまで来たことが 嬉しかった

今 空に問うて
出しかけた足を ひっこめる

一歩
そろそろ 違う一歩

見回したら向き直り 進めなきゃ
2007.05.28 ゆるい青空
ゆるゆると
晴れた空

ぼんやりと
眺めていたら

ちくたくと
せわしい心

ぱったりと
動きをとめる

しばらくこのまま
真っ白で

あなたの笑顔
思い出そう
2007.05.28 大人
大丈夫と
思っていたの

やり過ごしたと
思っていたの

いざ 聞かれると
心乱れて

あの頃閉じ込めた想いが
零れそう

ふたしかな涙を
語りそう

だけど すべて
言えなかった

聞いてほしいのに
飲みこんでしまった

だって わたし
大人だから

同じ位置から眺めても
大人だから

子供みたいだなんて
言い訳だから
2007.05.27 結末
いい思い出だけ

どうして

取り出せないんだろう

わたしを変えた

確かな時間

何年分も鮮やかなのに

結末ひとつで

どうして

消し去られるんだろう

ふたり瞳に映した

同じ色の空

忘れたくないのに
2007.05.24 泣き声
赤ん坊が 泣いている
からだ中で 泣いている

風に乗って届く声は
記憶の君と重なって

なだめては 途方に暮れ
耳を塞ぎたい気持ち
お願いだから
もう泣きやんでと

試されていたのかな

応えられていたのかな

永遠と思われたページ
やがてあっさり
季節の風にめくられて

今の君は 笑ってる
涙を忘れて 笑ってる

愛しいような泣き声は
遠く
甘く
少し苦く
2007.05.23 先入観
決めつけちゃ 始まらない

小さくても 新しい引き出し

開くことがある

何気なく 見始めたドラマも

なにか 共鳴するように

文句ばかりじゃ 近づけない

違うなら 別の角度

探すだけのこと

睨みあい そむけた瞳で

そっと 背中を見るように
2007.05.22 衣がえ
まだ少し
肌寒い日があるなんて

もう一回
袖を通すかもなんて

考えるのはよそう

暖かいものは 暖かい
そう感じていたいから

窓を開け放して
衣がえ

気がつけば季節はずれ

空白のまま 答えを
折りたたんだら

心も一緒に
衣がえ
2007.05.20 匙かげん

寂しいくせに 一人がいい

疲れるくせに 話したい

大切なはずの日常は

静かでぬくい 白になり

悩めるぬるい 黒になり

大好きなこの部屋は

わたしを守る 城になり

わたしを縛る 檻になり

気持ちひとつとわかってる

いまだにうまく 量れない

都合よくなど 運ばない

自由と孤独の匙かげん

2007.05.17 きっかけ
傷なんて 残ってないよ

原因なんて 思ってないよ

責任なんて 言わないよ

ただの きっかけ

暖めようとして

手に持っていた心

力なく落として

ぱりんと割れた

そんな程度の きっかけ
2007.05.14 早起きの朝に
おはようさん
早すぎるよな朝の道
5月はこんなに明るくて
緑の匂いがする空気

おはようさん
懐かしいよな朝の道
あの日の想いも見送って
淡く膨らむ飛行機雲

おはようさん
冴えきれぬよな朝の道
ようやくみんな動き出し
食器の音が届く窓
2007.05.11
たしかに寂しい
何十年も わたしの一部
失えば二度と 蘇らない

だけど限界
何ヶ月も わたしの悩み
ほおっておいても 治らない

だから さよなら
大きな感謝と
短い役目に ごめんなさい

見せかけでも
偽物でも
わたしにとって 新しい歯

しっかり食べて
さあ 思いっきり笑おう
2007.05.09 いつか
もっと時間があったら
今より時間ができたら

そうやって
曖昧にしてきたこと

本当に思ってた
いつかという楽しみ

だけど気持ちは
季節と同じ 空と同じ

移ろっては
新しい風を混ぜ込んで

手を伸ばすより
忘れえぬ想いだけ

願った花と違っても
綺麗な色に 咲いている
消そうと思って

力をこめて

文字は見えなくなったけど

紙が磨りきれたね

見たくなくて

破り捨てて

跡形はなくなったけど

一枚が減ったね

傷ついても

傷つけても

きっとそんな感じ
2007.05.06 土の匂い
意識もしないまま
感じていたね
おいしいご飯と同じくらい
身近だったから

山を作れば さらさらして
水を混ぜれば ねとねとして

いつかまた 君のために
トンネルを掘り
プリンカップに詰めたり

それもまた 誰のためも
触れなくなって
何年もたって

いま一度 自分のために
こねた土を
無心に回す

考えながら
形じゃないね
眩しい空と同じくらい
ただ気持ちいいだけ
2007.05.03 越える
空のように広いと

紅茶のように気分だと

色紙のように変わると

思えなかった

本当はわかっていて

曖昧でよかったのに

ひとつの答えを探していた

さよならはいらない

あの日はもうこない

心に鮮やかな花を映したら

大きな歩幅で

越えてゆこうか