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2007.08.30 スツール
小さなスツール 作ったよ

君と二人で 三時間

一枚の板 四本の足

直線だけの シンプルさ

形だけなら すぐ組める

飾り物なら それもいい

だけど 君が座るには

支えの木や 釘とネジ

目立たぬように 補強する

単純そうな スツールは

多くの力に 守られて

君が歩く 足元も

同じなんだと 覚えていてね
2007.08.28 流れる夏
惜しむような セミの声

告げるような 夜の虫

これといって なにもないまま

夏が 流れてゆく

射すほどの 陽光も

飽きたのか

少し 力を抜いて

ペダルを踏み 帰るわたしにも

重くなった 稲穂と同じ

風が囁く夕方
2007.08.27 生きる
いつもどこも
生きるのは大変で
誰もわたしも
精一杯

懺悔と後悔
記憶と思い出
抱えながら

涙を飛ばし
風に乗ろうと
がんばりながら

今がよければ
明日の階段は明るくて
振り返った昨日さえ
輝くものにしてくれる

ある日のために
あの日のために
生きたりしない

ただひとつでも
後回しをやめるだけ
2007.08.26
何度も聴きたい
歌があった
飽きることなく

すぐまた行きたい
場所があった
終わりなど考えず

時間があれば
自由があれば

そう思いながら
選んできたね

いつもこれが
すべてじゃないと
言い聞かせて

望まなくなったのは
深く体に刻んだから

動かないようでいて
少し歩幅を緩めたから

迷いながら
今も夢は心に
2007.08.22 稲光
カーテンを閉めても
照らされる窓

外に干したまま
諦める洗濯物

音が遠ざかっても
続いた稲光

耳を塞いだまま
眺めている君


やっと暗さと静けさを
取り戻した空

オレンジのような月が
滲んで見えた
2007.08.21 アゲハ蝶
何気なく近づけば

ふらりふわり 羽ばたいた

舞い上がる アゲハ蝶

わたしが去れば

ふらりふわり 戻るだろう

日陰も熱い 濡れたアスファルト

山の岩ではないけれど

そこだけが 小さなオアシス

アゲハ蝶は 水を飲む


邪魔しちゃったね

しばし どうぞごゆっくり
2007.08.20 熱帯夜


昨日と違う 夜風の温度

なんだか眠れそうな予感に

ほっとする

さっき 少しの雨

アスファルトが 冷めたかな

それはたぶん

摂氏一度か二度の差

熱帯夜に 変わりないけれど
2007.08.16 空と海
灯りに群れ
涼しさに集まり

それでも人は

空を求め
海に触れる

狭められて
囲われて

それでも人は

空を眺め
海に遊ぶ

思い出の青さと
繋がりながら

未来の記憶を
願いながら
2007.08.12 欲張り
どれほどあれば 満足するんだろう

楽しい時間 心地よい時間
きっと 数え切れないのに

忘れるのは なぜだろう

悲しい時間 苦しい時間
きっと 数え切れるのに

すがってはいけないし
浸ってはいけないし

求めるものは なんだろう

甘い顔だけ 静かな顔だけ
どっちも 物足らないのに

行きたい場所は どこだろう

闘いの日 思い出の日
どっちも 抱きしめているのに
2007.08.12 眠り前
あっという間の 眠り姫

もう休んでと 耳の奥

楽しみならば 浅い夜

回るだけの 時計盤

月さえ滲む 裸の目

遠ざけたいよ 青い朝


なにに名残りの 遅れ組

声かけようと 夢の君

頬に触れたら また明日
2007.08.10 笑った顔
笑った顔を思い出そう

たわいないこと

少し意地悪なこと

なんだっていいじゃない

お風呂の中で

枕の上で

一日の最後だもの

忘れなくても

許せなくても

考えなくていいじゃない

笑った誰か

笑ったわたし

思い出せばいい
2007.08.08 8月
しゃんしゃんしゃん
途切れない 蝉の輪唱
午前10時に ひと休み
賑やかな 夏の朝

もくもくもく
生まれるのは 入道雲
パーマネントな 白い巻き髪
くっきり青く 夏の空

わぁわぁわぁ
歓喜と汗で 大声援
そこだけ特別に 登る陽炎
暑く熱く 夏の球場

変わらない 8月の風景
それでいて
失くしたものは なんだろう
2007.08.07 波のあとで

高まって
大きく大きく 打ち寄せた

くり返す 満ち干き
さらわれる 想い
すべて 忘れたように
海へ溶ける

心の浜辺で
砂は 指から零れるばかり

待っているのか
もう一度の波
運ばれてくる欠片

探しているのか
埋もれた貝殻

2007.08.06 受信拒否
ひどいとか
重いとか
そんなじゃないのに

小さな針で
粘った手で
触れてくるような言葉

寂しいの
自己満足なの
はかれないから

無駄になる
捨てられる
ダイレクトメールのような言葉

悪いけど
冷たいけど
私書箱からはじく言葉
2007.08.05 浴衣
色とりどり みんな違う

不思議にふたつと 同じはない

下駄をはいて 髪を上げて

少しの緊張と どこかに緩さ

扇子よりも 団扇が似合う

着るよりも 見てるが夏

打ちあがった 夜空に負けない

浴衣が咲く 花火大会
2007.08.03 宿題
真剣になんて やってらんない
のんびりだらだら 夏休み

朝涼しいなんて 嘘ばっかり
セミの声と 扇風機

書いただけで 満足する
実行されない計画表
一ページを とりあえず
白紙が続く宿題ノート

最後に困ると 怒られても
のんびりだらだら 後回し


なんでやるのと 思っていた
そんなわたしが 今
なんでやらないのと 言っている
2007.08.03 追悼
時計は
鳴ったのか 止まったのか

遠い地で ひっそりと
抜けるような夏空へ

記憶の中には 今も
この青のような元気さ

あの頃 なにを話したか
忘れてしまったけど

少し高い声 早口な喋り方
耳の奥で蘇る

お別れは さよならに代えて

また新しい どこかでと
果てしない いつかにと

南の空に祈る